2016年12月20日火曜日



第3回 平成19年(2007年)と平成25年(2013年)


 平成19年と平成25年を比較すると、次の表のとおりです。



 価格帯を調べてみましょう。売却物件の基準価額により次の5つに区分して、価格帯別の件数を見てみますと、次のグラフのとおりです。
 両年ともに、価格帯Ⅰと価格帯Ⅱが多く、合わせて7割弱を占めています。平成25年(2013年)は価格帯Ⅰが5%増え、価格帯Ⅱは3%減少しました。

     価格帯Ⅰ 500万円未満
     価格帯Ⅱ 500万円以上1,000万円未満
     価格帯Ⅲ 1,000万円以上1,500万円未満
     価格帯Ⅳ 1,500万円以上2,000万円未満
     価格帯Ⅴ 2,000万円以上


 価格帯別の売上げ額(単位:億円)は、次のグラフのとおりです。両年とも、件数が少ない価格帯Ⅴが大きな比重を占めるのは同じですが、その売上げ額が違います。


 価格帯別の平均乖離率は次のグラフのとおりです。なお、この平均乖離率は、各市場の価格帯の中間乖離率を求め、それを単純平均した値です。
 平成25年(2013年)は、価格帯Ⅰ及び価格帯Ⅱの平均乖離率が平成19年(2007年)を大きく上回っているのが目立ちます。



 以上見てきたことから、平均乖離率は平成25年(2013年)が優るが、売上げ乖離率は平成19年(2007年)が優るという理由が分かります。

 すなわち、平均乖離率は、平均値ですから、件数の多い価格帯Ⅰ及び価格帯Ⅱの乖離率に強い影響を受けます。このため、平成25年(2013年)の平均乖離率は高かったのです。しかしながら、売上げ乖離率は市場の売上げ額(正確には、その基準価額に対する比率)で決まりますから、価格帯Ⅴの件数が多く、平成25年(2013年)の1.5倍もの売上げのあった平成19年(2007年)の方が優ったわけです。

 なお、価格帯Ⅴの平均中間乖離率だけを見ると平成25年(2013年)がわずかに高いのですが、次の、基準価額の2倍以上の買受け割合グラフで分かるように、平成19年(2007年)の価格帯Ⅴは、実に2割を超える物件が基準価額の2倍以上で買われていましたから、価格帯Ⅴの活性度は平成19年(2007年)の方が優ることは明らかです。

 このグラフには、活性度が最も低下した平成21年(2009年)の状況も掲げました。平成21年(2009年)に比べると、平成25年(2013年)の価格帯Ⅴは著しく活性化していますが、平成19年(2007年)には及ばなかった言わざるを得ません。


つづく(次回は「第4回 ゆく川の流れは絶えずして・・・」)    





 

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